10. 経理処理の疑問、どこまで経費?毎月の処理は?

フリーランスになり煩雑な作業の1つに経理処理があります。外注しなければ、自分でこなさなければなりません。ただ、常駐で働いているエンジニアの方々の場合は、経費の数も少なく、取引先も多くない場合が多いので、ツールを使えば自分でこなせる範囲ではないかと思います。毎月の作業から、経費の範囲まで、具体的にご紹介します。

毎月の経理処理

常駐型のエンジニアの場合は、毎月の経理は、見積り・請求・経費精算の3つです。
フリーランス向けのエージェントを利用して常駐型の案件に参画している場合、契約書に金額が記載されており見積書が不要な場合は、請求と経費精算の2つのみで問題ない場合が多いようす。

請求作業

取引先へ請求書を発行します。
請求先、請求日、項目、金額、振込先、振り込み期日などを記入します。
毎月決まった金額の場合は、請求日と振り込み期日以外は固定となります。
稼働に応じて金額が変動する場合には、常駐先の勤怠管理で稼働時間(もしくは日数)を確認の上、請求金額を記載します。
一度作成すれば、翌月以降は、前月のものを複製し、日付と工数を変更するだけで発行できます。
請求書の提出は、取引先ごとに提出期限があります。必ず指定された期日までに提出するようにしましょう。原本が必要かどうかも、取引先企業によって異なります。

経費計上

フリーランスの場合、経費処理も毎月自分で行う必要があります。
常駐型の場合は、交通費が必ず発生します。
また、飲食も仕事の打ち合わせを兼ねたランチなどは会議費として計上します。
その他、仕事に使用する事務用品の購入や、セミナーや勉強会の参加費、仕事のための書籍購入代なども経費となりますので、領収書と照らし合わせて、その月に使ったものを登録しておきます。領収書は、記帳後も必ず保管しておきます。

確定申告前に、1年分まとめて処理する方もいらっしゃるかもしれませんが、毎月の請求作業のついでに経費の入力も済ませてしまうと、確定申告時期に焦らずにすみますよ。

個人事業主の経費はどこまで?

個人事業主は、何でも経費に認められるわけではありません。
当たり前ですが、仕事に関わる費用のみが経費の対象です。
迷いやすい項目をご紹介します。

仕事に関わる費用とは?

仕事に関わるかどうかは自己申告になりますが、取引の記録などから必要だったことを明らかに証明できる場合のみとされています。
領収書があれば大丈夫ということではなく、領収書と合わせて利用用途や取引の記録などから、仕事に関わるものであったという事実を証明できなければならないとされています。

飲食費

仕事中のランチや、カフェでの作業は経費として認められるのでしょうか?

飲食の場合

まず、ランチなどの飲食についてです。
こちらは仕事中であったとしても、一人での飲食は経費として認めらないことになっています。仕事に関係する方との打ち合わせを兼ねた飲食であれば会議費として、営業的な側面の、案件獲得や継続のための飲食であれば、接待交際費として計上することができます。

作業の場合

カフェなどで作業をした場合は、少し複雑です。
カフェでの作業が一人の場合、飲み物1杯程度であれば、雑費等として計上できます。
ただし、飲食をした場合の食べ物代は経費にはできません。ランチを食べることは、業務とは関係なく、プライベートの範疇に入ると判断されるようです。
二人以上で、打ち合わせをしながらの作業であれば、上記同様、会議費として計上することができます。

特に在宅で作業をするエンジニアはご注意を!

家賃や光熱費

常駐型で働くエンジニアの方でも、一部持ち帰りが発生していたり、掛け持ちで在宅案件を受けている場合には、自宅作業が発生することもあるかと思います。
自宅作業があれば、自宅の家賃や光熱費の一部を経費として計上することができます。

自宅の家賃や光熱費は、プライベートと事業で使用している部分を分けて請求支払いをすることはできませんが、事業にかかった割合から費用を算出し、経費として計上することが可能です。これを「家事按分」と言います。

家賃の場合

家賃であれば、仕事に使っている床面積を決め、月の家賃にその比率をかけた費用が、地代家賃として計上できる費用となります。
仕事に使う面積は、仕事のみで使用することを証明できることが望ましいようです。

光熱費の場合

電気代、ガス代、水道代などの光熱費は、在宅で仕事をした時間の比率を決めて、月の電気代にかけて費用を算出します。

どちらも、仕事で使用した比率は自分で決められますが、証明できる範囲内で決めなければなりません。

携帯などの通信費

携帯などの通信費も、プライベートと仕事の両方で使用することが多いものですので、家事按分の対象となります。
家賃などと同様に、仕事で使用した比率から費用を算出します。
仕事で使用する時間の比率から算出する方法が簡単です。
ただ、事業用に契約をして、事業用のみで使う携帯を持っている場合は、その通信費は全て経費として計上できます。
アプリ開発の案件などに携わる場合は、スマホの通信以外にアプリのダウンロードや有料会員登録などが必要になる場合もあるでしょう。
この場合は、仕事のためのダウンロードや登録になるので、このアプリの課金代金や有料会員登録の費用も経費として計上できます。


経費になるのかどうか判断に迷ったら、税理士に相談してみるのがおすすめです。
税理士と顧問契約を結んでいなくても、行政が開設しているビジネスサポート窓口などで無料で相談が可能です。
東京都であれば、東京都中小企業振興公社が開設している経営相談が無料で受けられますし、自治体で開設しているところもあります。

参考:東京都中小企業振興公社
http://www.tokyo-kosha.or.jp/index.html
練馬区ビジネスサポート
https://www.nerima-idc.or.jp/bsc/

領収書がないものは経費にできない?

仕事に関連するものであっても、領収書がもらえないものもあります。
領収書がないものは経費にできないと思われがちですが、出金伝票を記帳することで経費として認められることになっています。

交通費

交通費は、切符を買ってもICカードで支払いをしても領収書はありません。
チャージをすると領収書が発行できますが、全額仕事で使用したという証拠がないので、領収書だけで一括で経費にすることはできないとされています。
ICカードの支払いであれば、券売機やICカードリーダーを使って履歴を印字することで証明として認められます。もしくは、出金伝票を記帳することで領収書の代わりにすることができます。交通費のみであれば、エクセルなどで1ヶ月1枚にまとめて日付・支払先・区間・訪問先・金額などを記載しておいてもよいそうです。
決まった場所への出勤の場合は、この方法が便利ですね。

慶弔金

仕事上関係のある方の結婚祝いなどの慶弔金も、領収書がないものです。
こちらも出金伝票で対応できます。
パーティーなどに招待されたのであれば、その招待状なども一緒に保管をしておくことで証明書類となります。

割り勘

打ち上げなどの飲み会の費用は、その場では誰かが立て替えてくれ、後日現金で精算することも多いのではないでしょうか。
そのような場合も、出金伝票を作成しておくことで経費にすることができます。
出金伝票には、日付・お店の名前・金額・目的・取引先名などの記載が必要となります。
あとからまとめて対応しようとすると忘れてしまいますので、発生した場合には早めに対応しましょう。

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会計ソフトを活用して工数削減

このような経理処理は、会計ソフトを活用することで大幅に工数を削減することができます。会計ソフトでできることも知っておきましょう。

会計ソフトでできること

  • 見積書・納品書・請求書・領収書・発注書などの発行
  • 入出金管理
  • 損益レポートなどのレポート確認
  • 確定申告書類の作成
  • 損益計算書や貸借対照表など決算資料の作成etc

このように、毎月必要となる見積や請求書の発行が、毎月の入出金管理に紐づいており、さらに毎年の確定申告書類にまで反映させることが可能です。
また、多くのサービスでは提携先の銀行口座やクレジットカードと自動連携することができます。登録をしておくと、自動で入出金の取引を取り込むことができ、仕訳も自動で判別してくれます。あとは、自分でその仕訳が正しいかどうか確認し、「登録」をしていくだけです。

フリーランスになると、経理処理や確定申告を不安に感じる方は多いようですが、最近ではこのようなサービスがいくつかありますので、上手に活用することで、経理関連の工数を大幅に削減することが可能です。

初月お試し無料などと、無料期間があるものが多いので一度確認してみてはいかがでしょうか。

フリーランス向けの福利厚生サービスや、エージェントのサービスに、これらのツールの特典がついている場合もあります。フリーランスとして独立したら、経理処理は必ず発生するものです。このような特典を使い、早めにツールを決めて活用していきましょう。

フリーランス向け福利厚生サービスでおすすめなのが、フリーランス協会が提供している福利厚生サービスです。企業などで福利厚生として導入されているWELBOXが活用できる上、フリーランス向け各種サービスの特典、さらにトラブルが発生した時の賠償責任補償も付帯されています。
複数の会計ソフトが無償期間を提供していたり、口座開設やクレジットカードの発行特典や、ワーキングスペースの特典なども用意されています。
年会費は1万円かかりますが、経費として計上できます。

エミリーエンジニアでは、一定の基準を満たすご登録エンジニアの方には、この年会費を負担させていただいております。詳しくは、ご登録の上、エミリーエンジニアまでお問い合わせください。

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