Xテックの中でも世界的に注目を集めているのがフードテックです。
食糧不足やフードロス、飲食店の人材不足、農業分野の後継者不足というような課題を、ICTの活用により解決するサービスが登場しています。
フードテック業界の市場規模や注目を集める背景、業界をけん引する企業例をご紹介します。
Contents
フードテックとは?
フードテックとは、食産業とテクノロジーの融合によって生み出された新しいビジネス領域です。数あるクロステック領域の中でも、近年、特に注目を集めているビジネス領域のひとつです。
既存の食産業のサプライチェーンである、生産や製造・加工、流通、消費などにおける課題をテクノロジーで解決するサービス、全く新しい付加価値を生み出すサービスなどがあります。次世代の食品開発、食のニーズ変化に対応する新しい食文化の創造などにも影響を与えると考えられています。
具体的なフードテックの領域は、下記の6つです。
フードテックの領域
- 生産に関わる領域
- 流通に関わる領域
- 中食、外食に関わる領域
- 次世代食品に関わる領域
- 健康食品に関わる領域
- 調理技術に関わる領域
フードテックの市場規模
三菱総合研究所は2018年の報告で、フードビジネスの市場規模は国内でも2009年から2030年の間で1.2倍、海外は2011年から2030年の間で1.7倍へと成長すると予測しています。
さらに国内・海外の市場成長をあわせた、世界のフードビジネスの市場規模は2030年に約1,400兆円にもなるとも述べています。※1
上記は、フードテックに限らずフードビジネス全体の市場規模ですが、フードテック領域での成長が見込まれています。
中でも市場が急拡大しているのは、完全栄養食や動物性タンパク質の代替品として注目される、植物肉や培養肉などの次世代食品に関わる領域です。
2019年9月にAllied Market Researchから発表されたレポートによれば、植物肉や培養肉などの肉の代替品の市場は2026年までに$8.1 billion(約8,900億円)まで成長すると予測されています。
2019年の肉の代替品市場の評価額は$4.8 billion(約5,200億円)のため、2026年までに約1.7倍の成長見込みとなっています。※2
※1 「飽和しない産業」フードビジネス | 三菱総合研究所(MRI)
https://www.mri.co.jp/knowledge/mreview/201804.html
※2 Meat Substitute Market by Product, Source, Category : Global Opportunity Analysis and Industry Forecast, 2019-2026|Allied Market Research
https://www.alliedmarketresearch.com/meat-substitute-market
フードテックが注目を集めている背景
世界的な食糧不足
2015年に国連サミットで「SDGs(持続可能な開発目標)」が採択されたことをきっかけに、世界的に食糧不足問題への危機意識が急速に高まっています。※3
国内においてもSDGsへの取り組みのひとつとして、2019年5月に「フードロス削減推進法」が成立し、各事業者が対応を進めています。※4
世界における食糧問題の解決手段としては、代替肉など「次世代食品の開発技術」が活用されています。
国内におけるフードロス問題
国内で喫緊の課題となっているフードロスですが、AI・ビッグデータ、ICT技術などを活用したフードロス削減が進められています。
国内の人材不足
さらに農業や飲食産業の後継者不足や人材不足も深刻な問題です。
農業におけるサプライチェーンの最適化や、飲食産業の業務効率化にも同じく最新テクノロジーが活用されています。
このように、世界における食糧不足問題や、国内におけるフードロス削減への危機意識の高まりと、農業や飲食産業の人材不足の深刻化などの課題感を背景に、フードテックの領域が広がり注目を集めています。
※3 SDGsとは? | JAPAN SDGs Action Platform | 外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html
※4 フードロスの削減の推進に関する法律 | 消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/promote/
フードテックは、どのような企業が参入している?
これまで食関連の事業を展開してきた大企業だけではなく、これまで食のイメージがなかったグローバル企業や新進のベンチャー企業まで、様々な企業がフードテックに取り組み始めています。
生産に関わる領域
フードテックの中でも農業や生産部分を担うのが、アグリテックと呼ばれる領域です。アグリテックについては、アグリテックについては、アグリテック(AgriTech)業界とは?市場規模や企業動向を解説 こちらの記事で詳しくご紹介しています。
アグリテックに参入している企業例は以下の通りです。
- ロボットトラクターの開発を行う「ヤンマー」
- AI・IoT技術を畜産現場で活用する「日本ハム」
- 飼育管理の最適化・省力化を実現する「NTTデータ」
- アリババ など
流通に関わる領域
IT技術を使って、食材や料理などの流通における在庫管理や配送、決済方法の最適化を行う領域です。
代表的な企業例
- 飲食店の料理を宅配する「UverEats」
- 飲食店向けの食材ECサイトを展開する「八面六臂」など
中食、外食に関わる領域
飲食店の業務効率化・省力化に貢献するサービスや、自宅でプロのような料理を再現できるIoT技術を提供するサービスなどの領域です。
代表的な企業例
- 専用の電子レンジで調理可能な調理キットを宅配するシャープの「ヘルシオデリ」
- 飲食店への事前注文や決済ができるShowcase Gigの「O:der」 など
次世代食品に関わる領域
代替肉の開発や販売に関する領域です。
民間と大学の研究施設が連携して商品開発に乗り出すケースも見られます。
日新ホールディングスは、東京大学との共同研究により世界で初めてサイコロステーキ状のウシ筋組成の作成に成功しています。
代表的な企業例
- 大豆をベースとした代替肉の製品を販売する「大塚食品」
- 大豆のお肉を販売する「マルコメ」
- 日清ホールディングス など
健康食品に関わる領域
食に対する価値観の多様化や、高まる消費者の健康意識などに応えた商品の開発・販売を行う領域です。オンラインで販売されているものもあります。
代表的な企業例
- 必須栄養素をバランス良く配合したドリンクや粉末・グミを販売する「COMP」
- 完全食を開発・販売する「ベースフード」など
調理技術に関わる領域
テクノロジーを使って家庭の食卓を改革する領域で、「スマートクッキング」と称されることもあります。
代表的な企業例
- 自社レシピデータベースを活用したクックパッドの「OiCy」
- 食のパーソナライズサービス「conomeal」を開発するニチレイ
- AIやロボティクス技術を活用したクッキングロボットの開発に取り組むソニー など
このように、フードテックに関わる企業は、スタートアップから大手老舗企業まで様々です。
フードテック業界で働くには
フードテック業界と言っても、使われている技術はサービスごとに多岐に渡ります。
AIやIot技術はもちろんのこと、セキュリティ技術やデータ関連技術などが必要とされています。WEBやアプリで展開しているサービスでは、一般的なWEBやアプリの開発スキルが求められます。フードテック業界独自の技術スキルというよりは、他のクロステック業界でも使われている技術が多いでしょう。
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