「企業の意思決定に携わりたい」
「統計解析に特化した案件で仕事を探したい」
「Pythonで機械学習の分野に携わっていた経験を活かしたい」
そう考えている方に向けて、今回はR言語について紹介していきます。R言語とは、統計解析に特化している言語です。データ解析と聞くと、Pythonを思い起こす方も多いと思います。Python以外にも統計解析に特化している言語はあり、その中でもR言語は人気を博しています。
Pythonは、統計解析や機械学習だけでなくWebアプリケーションの開発にも使える汎用が高い言語です。それに比べてR言語は、統計解析に特化して力を発揮します。今回はR言語について、スキルを持っているエンジニアはどんな案件を扱えるのか、どんな条件や単価で案件を受けることができるのかについて紹介していきます。
R言語とは
R言語とは、統計解析向けに開発されたデータ分析特化のプログラミング言語です。オープンソースのフリーソフトウェアで、誰でも無料で簡単に利用することができます。R言語を使えば、「データの加工や操作」「線形回帰」「ランダムフォレストのような機械学習の分析」「解析したデータの可視化」といったことが可能になります。
R言語は、1995年に科学者ロス・イハカ氏とオークランド大学のロバート・ジェントルマンによって開発されました。S言語というプログラミング言語をベースにしており、ユーザーフレンドリーなデータ解析・統計プログラミングとして展開されました。
1997年以降からは、R Development Core Teamにより開発が受け継がれ、現在でも更新が続けられています。R言語にはいくつかの優れた特徴があります。
- ソースコードが単純
- 本格的な統計処理が可能
- マルチプラットフォーム対応
- 関数名や変数名に日本語を使用可能
データ解析に使われる言語としては、Pythonがよく知られています。R言語はpythonよりも本格的な統計解析に適しており、
「分析結果の詳細なグラフ表示が可能」
「データサイエンス向けのライブラリ(パッケージ)が豊富」
「より正確な統計処理が可能」
Pythonと比較して上記のような優位性を発揮します。R言語とpythonを比較するうえで、「統計解析と機械学習の目的が異なっている」という事実は把握しておく必要があります。
- 統計解析の目的は、データを解析して現状の状態を知ること
- 機械学習の目的は、解析したデータから次の予想を立てること
上記のように目的が似ているようで異なります。R言語は主に統計解析をするために開発された言語で、pythonは主に機械学習に使われるために開発された言語です。
統計解析では、膨大なデータを短い時間で処理できることが求められますが、R言語には短時間でデータを解析するための多くの機能がデフォルトで備わっています。
逆にPythonでは、NumpyやPandasなどの機械学習実装に役立つライブラリが豊富に取り揃えられています。
このように、両言語は似ているようでよく使われる領域が異なっている点は抑えておきましょう。
R言語案件の内容とは?
それでは続けて、本記事の主題であるR言語の案件に関して言及していきましょう。フリーランスのエンジニア向けに提示されているR言語の案件を見てみると、内容としては下記のようなものがあります。
- データ分析による業務のプランニング
- データ分析によう業務の運用改善
- データ解析ソフトの作成
上記のとおり、基本的にはデータ分析に関わる案件がほとんどです。案件を提示している会社の種類としては、事業会社やマーケティング会社、コンサルティング会社などです。特に事業会社は、幅広い業種から案件が見受けられます。自社で保有しているPOSデータや顧客データ、これらを分析する業務でR言語を使用したいニーズから案件を発注しています。
R言語エンジニアの単価相場は?
実際に案件に参画する上で、気になるのは単価相場ですね。R言語を扱えるエンジニアを募集している案件から、単価相場を見ていきましょう。
単価の平均相場:80万円~110万円
Pythonの単価相場が60万円~80万円であることを考ると、R言語の単価相場は高めに設定されていると考えてよいでしょう。その理由としては、R言語は統計や機械学習に特化した案件が多く、専門的な知識が求められるからです。案件で求められる能力を見ていくと、下記のようなものが例としてあります。
- データ解析を行うための基本的な統計知識や分析能力を持っている
- データ解析による課題解決能力が求められている
このようにR言語の案件では、R言語のスキル以外にも統計解析やデータ解析に関する能力が求められます。
案件を発注している企業としては、データを解析してどう業務を効率化するか、どう集客につなげていくかを提案してほしいと考えています。そのため、「解析したデータを生かして業務を効率化する」能力を持っているエンジニアが求められているのです。正しくデータ分析ができるエンジニアであれば、必ずしもR言語を扱える必要はないと考える企業もあります。
ほかの言語を使った実務経験は必要になりますが、データ分析の技術があるエンジニアは需要が高いです。
R言語案件の将来性はあるの?
R言語は将来的に使用する企業が増える可能性が高いです。昨今、統計学に基づいた結果を踏まえてビジネスの方針を決めることが一般的になってきています。
従来までは、何か業務を効率的にする方法を探すうえでトライ&エラーを繰り返すしかありませんでした。統計学を使ったからと言ってトライ&エラーが完全になくなるわけではありませんが、0から始めるよりも試行回数が圧倒的に少なく済みます。そのような考えから、多くの企業で統計学を使ってビジネスを進めるケースが増えています。
R言語を使っている例を見てみると、海外ではGoogleやFacebookなどといった大手IT企業があります。
サービスから得たユーザーデータを分析するためにR言語を使用しています。国内であれば、DeNAやドリコムといった主にベンチャー企業がR言語を使用しています。
これらの企業はWebサービスやアプリを提供しており、ユーザ獲得やユーザ定着のためにどのような施策を打ったら良いか常に考えていく必要があります。この意思決定に、R言語によるデータ分析を活用しています。
国内で最近大きな話題にもなった、YahooがZOZOを買収したニュースがあります。Yahooはこの買収により、アパレル分野での購買者の動向や興味といった情報を入手しやすくなりました。
今後、Yahooが展開しているネットショッピングの方針決めにアパレル分野でのユーザ動向という視点を加えられるようになったわけです。
この事例のように、ユーザのデータを集めてビジネスに生かしていこうと考える企業は少なくありません。その集めたデータを解析する場面で、R言語は大きな活躍を見せます。
統計解析の強みはビジネスの方針決めだけに留まりません。
生産性の向上や人件費の削減にも活用できます。人件費削減に向けた取り組みの中で、世界最大級の投資銀行ゴールドマンサックスの例はよく知られています。
ゴールドマンサックスのニューヨーク本社では、2000年のピーク時には600人いたトレーダーが現在2人になったという話があります。
人が行っていたことを自動化することが、すでに実例をもって証明されています。
この人員削減の裏にも統計解析が使われていると思われます。
「トレーダーに割いている人員を大きく減らしても会社の業績に大きな影響がない」という結果を予測してこの施策をとったわけですが、その裏には統計解析で得られた結果が活用されています。この統計解析に使われるプログラミング言語の中で代表となるのがR言語です。今後の将来性も高いと考えてよいでしょう。
まとめ
R言語にはどんな案件があるか、今後の将来性はどうなのかといった観点でお話させていただきました。
R言語を扱う案件では、企業として重要な意思決定の根底部分に携われることも多く、やりがいのある仕事ができます。案件の単価を見ても、他の言語と比較しても高めに設定されている点も魅力的ですね。そして、今後はビックデータによるデータ解析案件がどんどん増加していきます。そんな将来性が高いR言語をぜひ活用して、エンジニアとしての活躍幅を広げてみるのはいかがでしょうか。
無料会員登録で、あなたにおすすめの案件やセミナーの情報をお送りいたします。
まずは無料会員登録を。