近年、FinTech(フィンテック)やEdTech(エドテック)と並び市場が拡大しているのがHR tech(エイチアールテック)です。 人材不足や働き方改革を背景に、テクノロジーを活用した課題解決型の様々なサービスが登場し、注目を集めています。 今回は、HR techのサービスジャンルや企業についてご紹介いたします。
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HR techとは?
HR techとは、ヒューマンリソース(人財)+テクノロジーの造語で、採用や人事評価、勤怠管理、社内コミュニケーションなど人事関連の業務分野で、最先端テクノロジーを活用すること、またそのサービスを指します。 HR業務をデジタル化することで、俗人化していた人材管理から脱却し、データ分析による定量的な人材戦略が可能になります。 また、SaaS系サービスの導入により、企業は従来よりも安価にサービスを導入できるようになり、中小企業を中心に普及が進んでいます。
ある調査によると、国内のHR tech市場は2017年の185億円から2019年には350億円規模まで市場が拡大しています。 さらに、2023年までに1000億円規模まで拡大すると予想されており、FinTechやEdTechと合わせて注目を集めています。
参考:2019年はHR Techの”普及元年”|今知っておきたい基礎知識 | HR NOTE
実は広いHR techに含まれるサービスジャンル
HRtechは、主に7つのジャンルに分けられます。 それぞれの特長を解説します。
求人関連サービス(toC、to B)
業界を問わず人材不足に悩む企業は多いですが、従来の求人の方法に頼らない手法をテクノロジーで実現するサービスがいくつもリリースされています。 従来の新卒・中途採用向けの媒体や紹介サービスだけでなく、レコメンド型の転職サイトや、地域や業界に特化した媒体、エンジニア採用専門のサービスもあります。 さらに、リファラル採用、ダイレクトリクルーティング、ソーシャルリクルーティングのような新たなリクルーティング手法を提供するサービスも増えています。 ダイレクトリクルーティングのビズリーチや、リファラル採用も可能なWantedlyなどは、知っている方も多いのではないでしょうか。
また、ビジネスSNSやビジネスマッチングのような求人に繋がる人脈形成のためのツールもあります。 FacebookやTwitterではなく、アトラエが提供するyentaやsansanが提供するEIGHTのようなビジネスに特化した国内サービスも会員数を伸ばしています。 求人関連サービスでは、仕事を探している個人と人財を探している企業のマッチングですので、toC、to B、どちらにもサービスを提供しています。 基本的には、企業側から利用料などをもらうビジネスモデルです。
採用関連サービス(to B)
採用関連サービスには、採用管理だけでなく、採用広報、採用サイト作成や採用マーケティング、さらに適性検査などのサービスも含まれます。
リクルートが提供する採用管理サービス「リクナビHRTech」や、採用サイト制作・採用マーケティングのindeed、適性検査を提供するエン・ジャパンなど大手有名企業もありますが、多くは中小ベンチャー企業です。 採用関連サービスでは、サービス提供先は基本的に法人となります。 BtoBtoCとされるモデルで、法人がクライアントとなり、法人からの利用料などをいただくビジネスモデルです。
労務管理サービス
労務管理サービスは、社員の労務管理をIT化するサービスです。 Freee人事労務やSmartHRのような社員の勤怠や名簿、給与計算まで総合的に提供しているサービスから、TeamSpiritのような勤怠管理に特化したサービス、MFクラウド給与のような給与計算サービスや、近年登場したペイミーのような給与前払いサービスが含まれます。 これらのサービスも、BtoBサービスで、取引先企業から利用料を徴収するビジネスモデルです。
社内エンゲージメントサービス
人材不足・離職率の増加を受けて、近年注目されているのが社内エンゲージメント領域です。 社員のエンゲージメントを高めるための、福利厚生サービスやウェルネスサービス、社内コミュニケーションツールなどが含まれます。 ベネフィットワンや宅配社食のおかんのような福利厚生サービスや、チャットワークやSlackなどのコミュニケーションツールというように、多くのユーザーを持つサービスも多いのが特長です。 これらのサービスでは、企業向けと個人向けの両方のサービス展開をしている企業が多いのも特徴です。
ベネフィットワン・チャットワーク・Slackなどは、個人ユーザーにもサービス提供をしており、toB、toC向けそれぞれに合う料金や機能が展開されています。
人事評価サービス
人事業務の中でも、多くの社員が関わることになる人事評価もデジタル化が進んでいます。 IBMが提供する人材管理ソリューションのような大規模なものから、あしたのチームのような中小企業に特化したもの、カオナビのような人材管理と連動した評価サービスなど、サービスごとに特徴があります。 このサービスも、toB向けのサービスで、取引先企業に導入してもらい利用料をいただくビジネスモデルです。
人材育成サービス
人材育成サービスは、従来の企業研修にとどまらず、個別のオンライン講座や集合研修、WEBセミナーなど選択肢が増えています。
働きながら受講できるオンラインやWEBセミナーは、ジャンルごとに細分化されており、エンジニア育成のオンライン講座を提供するコードキャンプ、派遣社員向けのe-ラーニングシステムを提供する派遣のミカタ、管理職育成のグロービスなどがあります。 人材育成サービスでは、企業向けの研修サービスのみを提供する企業と、個人向けのサービスも提供する企業に分かれます。
人財アウトソースサービス
近年、コミュニケーションツールやAIの普及で新たな人材確保の手法となりつつあるのがアウトソースサービスです。 従来のアウトソースサービスでは、データ入力やデザイン・開発などの業務を切り出して外注するというものでしたが、最近では、クラウドソーシングのようなサービスや、社内のチームに参画するような新しいサービスも登場しています。 クラウドワークス、ランサーズのようなマッチングサービスだけでなく、キャスタービズやHelpYouのようなオンラインアシスタントサービスや、myAssistantのようなAIを活用したサービスもあります。
このようなサービスでは、依頼者となる法人から利用料を徴収する場合や、利用者となる個人から手数料を徴収する場合など様々です。 このように、HRtechといっても幅広いジャンルが含まれており、サービス運営企業も大手から小規模ベンチャー企業まで様々です。
次章で具体的にご紹介します。
HR tech運営企業は大手からベンチャーまで
大手企業
老舗人材系企業であるリクルート、大手人材企業エン・ジャパン、大手IT企業のIBMなど大手企業も参入していますが、企業数は多くはありません。
大手・中堅ベンチャー企業
ダイレクトリクルーティングを提供するビズリーチなど人材系企業や、マネーフォワードやfree、ランサーズやクラウドワークスのように上場している中堅ベンチャー企業も成長を続けています。 さらに、indeedやSlackのように海外の大手ベンチャー企業が日本展開しているサービスもいくつかあります。
中小ベンチャー企業
HRtech企業の中で最も多いのが中小ベンチャー企業です。 事業として1~2サービスを提供し、従業員数が100名前後の企業が多く見受けられます。
IT特化の転職サービスGreenやビジネスマッチングyentaを提供するアトラエや、転職プラットフォームのWantedlyなど、社員数100名以下の上場企業も一部ありますが、多くは未上場のベンチャー企業です。 非上場企業でも、チャットワークやsansanのような認知度の高いサービスもいくつかあります。 このように、HRtechは従業員数・上場非上場と様々な規模の企業が参入している業界です。 市場規模の拡大に注目している企業が多いといえそうです。
エンジニアは、企業選びで働き方が異なる可能性大
このように注目されているHRtech企業ですので、興味がある・働きたいという方も多いのではないでしょうか。成長市場ですので、エンジニアの募集は増加傾向にありますし、今後新しい技術への取り組みや報酬アップの可能性も広がります。
エンジニアとして、この業界独自で必要とされる特殊なスキルはなく、PHPやJavaといったWEB開発やサーバサイドのスキルなど、業務に即したスキルが必要となります。 ただ、成長市場で中小ベンチャー企業も多いため、ソフトスキルが求められる場合もあります。中小ベンチャーでは、課題意識を持ち自走できる人材が求められるほか、コスト意識やマーケティング感覚などもあると有利です。また、ベンチャー企業では組織風土にマッチし、理念に共感できる人材かどうかも重要視されます。
HRtech企業を選ぶ場合には、企業風土や組織風土、社員の働き方などを事前にヒアリングしておくとよいでしょう。エンジニアの案件選びの際には、エージェントを活用することで、案件元の風土や働き方を確認しやすいというメリットがあります。 エージェントを活用すれば、案件の紹介にとどまらず、キャリア相談や面談対策、条件交渉なども依頼することができますし、場合によっては自分が興味のある企業に営業をかけてもらう営業代行の依頼も可能ですので、一度相談すると良いでしょう。
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